はじめての親子ボランティア:使わなくなった物の寄付・整理活動を始める前に知っておきたいこと
親子で始める、身近なボランティアのかたち
ご家庭にある「もう使わないけれど、捨てるのはもったいない物」。タンスに眠っている古着、棚に並んだままの読み終わった本、サイズが合わなくなった子ども服やおもちゃなど、誰かの役に立つかもしれないと感じる物は意外と多いのではないでしょうか。
こうした使わなくなった物を、必要としている人や団体に寄付したり、次に使う人が見つけやすいように整理したりする活動も、立派なボランティアの一種です。特別なスキルや場所を必要とせず、ご自宅で手軽に始められるため、ボランティアが初めてという親子にも取り組みやすい活動と言えます。
この活動を通じて、子どもは物を大切にする気持ちや、自分たちの身の回りにある物がどのように社会とつながっているのかを学ぶことができます。また、親子で一緒に仕分け作業をすることで、コミュニケーションの機会も生まれるでしょう。
ここでは、使わなくなった物の寄付や整理といったボランティア活動を親子で始めるにあたって、知っておきたいポイントや注意点をご紹介します。
使わなくなった物の寄付・整理活動とはどのようなものか
使わなくなった物の寄付・整理活動には、様々な形があります。主なものとしては、以下のような活動が挙げられます。
- 物品の直接寄付:
- 古着、本、おもちゃ、文房具などを、福祉施設、学校、海外支援団体、被災地などに直接寄付する活動です。寄付を受け付けている団体や自治体を探し、指定された方法(郵送、持ち込みなど)で届けます。
- 売上を寄付:
- フリーマーケットやバザーで使わなくなった物を販売し、その売上金を特定の団体やチャリティ活動に寄付する活動です。最近では、フリマアプリの売上金を寄付できるサービスもあります。
- 回収・リサイクルへの協力:
- 自治体や企業が行っている特定の物品(例:ペットボトルキャップ、ベルマーク、インクカートリッジなど)の回収・リサイクル活動に協力し、集めた物を指定の場所に持ち込んだり、送ったりする活動です。集められた物の価値に応じて、様々な支援活動に役立てられます。
- 整理・仕分けの支援:
- 災害支援物資の仕分け作業など、集まった物品を整理するボランティア活動に参加することもあります。これは自宅外での活動になります。
これらの活動の中から、ご家庭にある物や、親子で取り組みやすい方法を選んで始めることができます。
親子で使わなくなった物を整理・寄付するメリット
この活動に親子で取り組むことには、いくつかのメリットがあります。
- 物の大切さを学ぶ:
- 使わなくなった物にも価値があること、そしてそれを必要としている人がいることを知ることで、子どもは物を大切にする気持ちを育むことができます。
- 社会の課題に関心を持つ:
- 寄付する物の行き先(例:海外の子どもたち、被災地の方々)を知ることで、貧困や災害といった社会の課題について考えるきっかけになります。
- リサイクル活動への協力は、環境問題への関心を高めることにつながります。
- 貢献の実感を得る:
- 自分たちの行動が誰かの役に立つことを実感し、社会に貢献することの喜びや達成感を得られます。
- 親子のコミュニケーション:
- 「これ、〇〇だったね」「これは誰に喜んでもらえるかな?」などと話しながら一緒に作業することで、自然な形でコミュニケーションが生まれます。
活動を始める前に確認したいこと
安心して活動に取り組むために、いくつかの点を確認しておきましょう。
- 寄付先の選定:
- インターネット検索や地域の情報誌などを活用して、信頼できる寄付先団体を探します。活動内容や、どのような物を求めているか、寄付金控除の対象となるかなどを確認すると良いでしょう。
- 自治体や学校、地域の図書館などが回収を行っている場合もあります。
- 寄付できる物・できない物の確認:
- 団体によっては、受け付けている物品の種類や状態に規定があります。事前にウェブサイトなどで確認し、対象外の物を送らないように注意しましょう。傷みがひどい物や汚れがある物は、受け付けられないことがほとんどです。
- 送料などの費用負担:
- 物品を送付する場合、送料は寄付する側が負担することが一般的です。着払いで送ると相手に負担をかけてしまうため、元払いで送りましょう。一部、送料を負担してくれる団体や、回収にきてくれる場合もありますので確認してください。
- 子どもへの説明と参加:
- 活動の目的を子どもに分かりやすく説明します。「もう使わないこのおもちゃが、世界中の〇〇な子どもたちの役に立つんだよ」など、具体的に伝えると興味を持ちやすいでしょう。
- 仕分けや梱包作業に、子どもの年齢や能力に応じて無理なく参加させましょう。例えば、同じ種類の物を集める、段ボールに詰める、メッセージカードを書くなどの役割分担が考えられます。
- 安全への配慮:
- 梱包材を扱う際にハサミやカッターを使う場合は、大人が安全に配慮して行います。
- 重い荷物を運ぶ際は、無理のない範囲で協力し、大人が中心となって行います。
- 個人情報が記載された物(本に名前が書いてあるなど)は、必要に応じて消すか、寄付しないなどの対応を検討しましょう。
活動中の工夫と注意点
親子で楽しく、そして安全に活動を続けるための工夫と注意点です。
- 一緒に仕分けルールを決める:
- 「これは寄付する」「これはリサイクルに出す」「これはもう少し置いておく」など、親子で仕分けのルールを決めると、子どもも主体的に取り組めます。
- ゲーム感覚を取り入れる:
- 「同じ色の服を集めよう」「この箱におもちゃを〇個入れよう」など、ゲーム感覚で作業を進めると、子どもが飽きずに楽しく参加できます。
- 休憩を挟む:
- 長時間作業するのではなく、適度に休憩を挟みながら行いましょう。
- 無理のない範囲で:
- 一度にたくさんの物を整理しようとせず、今日は引き出し一つだけ、段ボール一つだけ、というように、無理のない範囲で計画を立てましょう。
- 感謝の気持ちを伝える:
- 子どもが協力してくれたことに対して、「一緒にやってくれてありがとう。〇〇のおかげで助かったよ」と具体的に感謝の気持ちを伝えましょう。
活動を終えた後に
寄付の手続きが完了したり、物が整理できたりしたら、親子で一緒に活動を振り返る時間を持つことをおすすめします。
- 「今日どんなことをしたかな?」「難しかったこと、楽しかったことは?」「寄付した物はどこに行くのかな?」などと話し合います。
- 活動を通じて感じたこと、学んだことを言葉にすることで、子どもの学びが深まります。
- 寄付先の団体からお礼の連絡や報告があれば、子どもと一緒に確認し、自分たちの活動が実際に役立っていることを実感しましょう。
まとめ
使わなくなった物の寄付や整理は、身近な場所から社会貢献に触れることができる、親子ボランティアにぴったりの活動です。大きなことから始める必要はありません。まずはご家庭にある小さな物から、親子で一緒に「誰かのためにできること」を考えてみませんか。
この活動を通じて、子どもは物を大切にする心や他者を思いやる気持ちを育み、親子の絆もより一層深まることでしょう。はじめの一歩を踏み出すことで、新たな発見や学びがきっと待っています。